なぜ小説執筆にwordや一太郎を使うべきではないのか?

どうも、のべろです。
タイトルを見て
「えっ、Wordなどは使わない方が良いの?」
と、ドキッとした方もいるかもしれません。
僕の知る限りでも、多くの方が 「Word」や「一太郎」といった、 いわゆるワープロソフトを利用しているようです。
特にwordは学校や仕事でおなじみのソフトですし、 文章を書くならこれ、というのが自然な流れでしょう。
しかし、もしあなたが
「もっと執筆に集中したい」 「アイデアが浮かんだ瞬間に書き留めたいのに、ソフトの動作が重い…」
といった、何らかの「書きづらさ」を感じているのであれば、
その原因は、使用しているソフトにあるのかもしれません。
もちろん、これらのソフトが完全に不適切だというわけではありません。
ただ、こと小説執筆においては、 これらの多機能なソフトよりもより適した選択肢があります。
それが、いわゆる「テキストエディタ」です。
テキストエディタと言われてもピンとこない場合は、
Windowsの「メモ帳」やMacの「テキストエディット」を想像してください。
簡単に言えば、テキストを書くことだけに特化したソフトです。
今回は、なぜ僕が小説執筆に Wordや一太郎ではなく「テキストエディタ」を推奨するのか、 僕自身の経験なども交えながらお話ししていきます。
1. Wordや一太郎の大きな弱点
Wordや一太郎は、レポート作成やビジネス文書作成においては、 非常に高機能で便利なソフトです。
図表の挿入、詳細な書式設定、校閲機能など、 その多機能性は疑いようもありません。
しかし、ほとんどの機能は小説執筆には役立ちません。
そして、小説を執筆するという点に限って言えば、
その多機能性が逆に執筆の妨げになってしまうことがあるのです。
思考を妨げる「動作の重さ」
最初に言ってしまいますが、これが一番の大問題です。
ワープロソフトは多機能な分、 ソフトの起動や動作が重くなりがちです。
「よし書くぞ!」と意気込んでも、 ソフトが立ち上がるまでに数秒、時にはそれ以上待たされることも。
集中して書いていても、ふとした瞬間にカーソルが反応しなくなる……。
このわずかな待ち時間が、 せっかくの集中力や、
湧き上がってきたインスピレーションの流れを断ち切ってしまうことがあります。
物語の世界に没入したいのに、現実の「待機時間」に引き戻されるあの感覚。
経験がある方もいるのではないでしょうか。
「書式設定」できるからこそ、こだわってしまう
Wordや一太郎は、デザインを整えることに長けています。
そのため、新人賞でルールになっているような、
「42×34」「40×32」といった、
文庫本とまったく同じレイアウトで執筆作業を進めることができます。
これは一見良いことのように思えますが、
「まだ形になっていない物語の『見た目』を先に整えようとしてしまう」
という罠に陥りがちです。
例えば……
「ここで章を切り替えたいけれど、ページがはみ出すから文章を減らそう」
「ちょっと文字を減らせば、セリフが一行に収まるから、工夫しよう」 などなど。
これは個人的な経験則も入るかもしれませんが、
こういう細かいことは一旦置いておいて、 執筆に集中するべきだと思います。
執筆の時間と遂行の時間を分けることで、
そのほうが結果的に、かかる時間も短く済むのです。
何より、頭を切り替えるエネルギーを使わなくて済みます。
以上がワープロソフトのデメリットです。
僕自身、大学時代は(ライセンスがあったので)Wordで執筆していましたし、
卒業後は一太郎で執筆していた時期もありました。
しかし、ソフトの挙動にストレスを感じることが増え、
ある日「これじゃあダメだ」と気づいたわけです。
2. 執筆の「集中力」と「速度」を高めるテキストエディタの利点
そのような悩みを抱えていた僕がたどり着いたのが、
「テキストエディタで書く」という方法でした。
テキストエディタとは、その名の通り
「テキスト(文字情報)を編集する」ことに特化した、
非常にシンプルなソフトウェアです。
Wordや一太郎からテキストエディタに移行して、
僕が実感した利点は以下の通りです。
(要するに、ワープロソフトのデメリットの逆です)
思考の速度を妨げない「軽快さ」
最初に言ってしまいますが、
これがテキストエディタの何よりのメリットです。
テキストエディタは、驚くほど軽量です。
ソフトの起動は一瞬。文字入力もスムーズに進みます。
あの「待たされる」ストレスから解放され、
頭に浮かんだ言葉を、そのままのスピードで画面に打ち込んでいくことができます。
この軽快さが、執筆のリズムを生み出し、集中力を維持させてくれるのです。
「まずは中身」に集中できる
テキストエディタは基本的に「プレーンテキスト」、
つまり装飾情報を持たない純粋な文字情報だけを扱います。
デザイン性は後回し。
まずは物語の骨子、血肉となる言葉を紡ぎ出すことに全神経を集中できるのです。
この「まずは内容に集中する」という割り切りが、
結果的に執筆スピードとクオリティを向上させると感じています。
とはいえ、執筆のモチベーションを上げる上で、 最低限譲れないデザインというのもあると思います。
- 縦書きか横書きか。
- フォントの種類や文字の大きさ
しかし、逆に言えば、小説執筆において重要になってくるデザイン性といえばこれぐらい。
そして、テキストエディタでもこれらの最低限のデザインは自由に設定することができます。
テキストエディタに移行してから、
わずかですが僕の執筆速度は上がり、
何より「書くこと」に伴うストレスが激減しました。
3. 補足:Word/一太郎が活きる場面
ここまでテキストエディタの利点を強調してきましたが、 Wordや一太郎が全く不要というわけではありません。
むしろ、特定の場面では非常に役立ちます。
それは、主に「推敲・校正」の段階や、「最終的な体裁を整える」段階です。
高度な校閲機能
Wordや一太郎に搭載されている
詳細な校閲機能 (スペルチェック、文法チェック、同義語検索など)は、
原稿の質を高める上で有用です。
特に、一太郎の校正機能はレベルが高いと言われています。
印刷・提出用の書式設定
小説賞への応募や、印刷・製本を見据えた
レイアウト調整(字数×行数の設定、ノンブル挿入、ルビ打ちなど)は、
やはりワープロソフトが得意とするところです。
テキストファイルでそのまま応募することもできますが、 PDFで応募することができる賞も多いです。
フォントやレイアウトを工夫したり、
文章に傍点を打ったり、 ルビを打ったりといったことは、
PDFでしか実現できません。
とはいえ本当に仕上げの所なので、
これらが受賞に結びつくかというとそうではありませんが、
テキストをエディタではできないこととして紹介しておきます。
まとめると、
「初稿から推敲」は軽快なテキストエディタで行い、
ある程度形になった原稿をWordや一太郎に移して「仕上げる」
という使い分けが、非常に効率的でおすすめです。
実際に僕も、テキストエディタで原稿を書き上げた後は、
一太郎に移して校正機能を使ってチェックしています。
といっても、本当に仕上げの段階なので、
やることといえば誤字脱字を修正するのと、 改行を調整するくらいです。
4.小説執筆におすすめのテキストエディタ紹介
ここからは、おすすめのテキストエディタを紹介していきます。
と言っても、正解などはまったくないので
自分に合ったものを選んでいただければいいのですが、
あくまで参考として、僕が使用して良かったものなどをいくつかご紹介します。
無料で利用できるので、ぜひ気軽に試してみてください。
Mery (Windows向け / 無料)

僕がテキストエディタに移行すると決めた時、
いろいろ検討し、これに決め、
それから長い間使っているテキストエディタです。
- 動作が軽い
- フォントを設定できる
- 横書きと縦書きを選べる
- 全選択すれば今の文字数がわかる
- 執筆だけに集中できるZenモードがある
小説執筆に必要な機能が入っていて無料、 シンプルで使いやすいエディタです。
Zenモードという機能も良いところで、
メニューなども非表示になり、
執筆の画面だけが真ん中に表示されます。
執筆に集中するための環境が簡単に整えられます。
Typora (Windows・Mac/ 15ドル買い切り ※試用期間あり)
この記事を書くにあたって
「どうせ書くなら他にいいものがないか調べないと」
と思っていろいろ調べ、行き着いたテキストエディタです。
Typoraはテキストエディタの中でも
Markdown(マークダウン)記法に特化したエディタです。
マークダウンはシンプルな記述方法で
文章の構造(見出し、リストなど)を表現でき、
Typoraはそれをリアルタイムで美しい表示にプレビューしてくれるのが最大の特徴です。
執筆画面そのものが美しいため、書くモチベーションが上がります。
レイアウトも多様なテーマから選べます。
と言ってもマークダウンなんて 小説を書く上ではあまり気にしなくてよいのですが……。
僕は小説を書くときもマークダウンで
章ごとやシーンごとに見出しをつけて
アウトラインで全体を把握しやすくすることが多いので、
それらのデザインが美しくなるのはかなり魅力的です。
弱点としてはタブ機能がないことですが、
今のところそこまで気になっていません。
そういうわけで僕は今、MeryからこのTyporaに乗り換えようと思っています。
実はこの記事も今、Typoraで書いています。
というのも、マークダウン記法は 見出しなどを設定して書くブログ記事と相性がいいのです。
まずはテキストエディタでテキストを書き、 細かい改行の具合やデザインは後からを調整するつもりです。
(小説で後から一太郎で調整するのと同じですね)
ちなみにこちらは有料の買い切りソフトで
5日間の無料期間が終わると
14.99ドル(2000円ちょっと)がかかりますが、
今後何年も文字を書いていくことを考えると、なんてことのない投資です。
購入しようと思います。
標準のメモ帳 / テキストエディット (OS標準搭載 / 無料)
実は、Windowsの「メモ帳」やMacの「テキストエディット」でも、 基本的なテキスト入力は十分可能です。
まずは一番身近なツール
テキストエディタの軽快さを体験してみるのも良いでしょう。
もしかするとそれで十分かも知れませんし、
「もうちょっと機能が欲しい」となれば、そ
の時に改めて欲しい機能を持ったソフトを探してみましょう。
以上、おすすめのテキストエディタでした。
上に挙げたのはあくまで僕が触ったことのあるものというだけで、
「テキストエディタ」で検索すればいろいろな手段が出てきます。
大切なのは「これを使用しなければならない」ということではなく、
「自分に合った、シンプルで軽いツール」を見つけることです。
色々試して、一番しっくりくるものを選んでみてください。
5. 執筆への「没頭」を促す環境づくり
今回は、小説執筆においてWordや一太郎ではなく
テキストエディタを使用する利点についてお話ししました。
もし今、あなたがWordや一太郎での執筆に
少しでも 「書きづらさ」や「ストレス」を感じているなら、
ぜひ一度、テキストエディタを試してみてください。
「書く」こと以外のノイズから解放され、物語の世界に深く没入する感覚。
思考がそのまま文字になるような、スムーズな執筆体験。
長く作家をやっていこうと思うなら、 執筆環境を整えることはとても重要です。
ぜひ一度、まとまった時間を取り、 自分にとっての相棒を見つけてみてください。
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