はじめまして、のべろです。
別のペンネームでライトノベル作家として活動しながら、こうしてブログを始めました。
僕のことを知ってもらいたいので自己紹介をすると、
- 京都大学卒
- 小説を書き始めたのは大学生になってから
- 創作指南書や小説講座、作家コミュニティなどに累計30万円以上投資
- 新人賞受賞を目指すアマチュア作家の作品も何十作と読んできた
- 大学時代はコンスタントに月100時間以上を読書や執筆にあてる
- 大学在学中に新人賞を受賞しラノベ作家デビュー
- その後にも別の賞を受賞するなど、複数レーベルで出版
- 新人賞攻略、企画立ち上げのための企画書作りが得意
- web投稿サイトだけで書いていた知り合いの作家さんに新人賞のセオリーを教えたところ、
初めての新人賞投稿作品が最終選考進出 - ココナラの講評サービスではプラチナランクを獲得
- 新卒から勤め続けた会社を辞め、現在は専業作家(ラノベ以外の創作の仕事を含む)
と、こんな感じでラノベ作家をやっています。
主にプロのラノベ作家を目指すアマチュア作家さんに向けて、
創作の考え方やニュースへの感想、日記などをブログに書きながら、
noteで創作論・技術論も書いていこうと思っています。
役立つ情報を無料で惜しみなく発信しつつ、
本当に価値のある情報については有料で販売しています。
またココナラでは、
アマチュア作家さんの創作相談に乗るようなサービスもやっています。
今後、僕の発信を通してプロ作家になる人が出てきてくれたらすごく嬉しいです。
実のところ、こういった活動をしている作家(特に現役バリバリの作家)はあまりいません。
みなさん作家業で忙しいですし、現に僕もずっと原稿の締切を抱えています。
じゃあ僕はなんでこんなことをやろうとしているのかというと、
次のような理由があります。
- これからラノベ作家を目指す才能溢れた人たちに、僕が培ってきた経験や技術を活かしてほしいから。
- 特に、避けられるはずの失敗に直面して筆を折ってほしくないから。
- 自分が持っている技術を言語化することで、自己理解・実力の向上に繋げたいから。
- そんな風に成長しながら、その過程を新たな収入源にもできたら良いと思ったから。
- 自分がやらなければ誰もやらないと思ったから。
キレイ事に聞こえるものも、真逆に感じるものもあると思います。
ぶっちゃけベースで書いていて、僕にとってはどれも同じくらい本音です。
とはいえ、これだけだと
「なんでそう思ったの?」
というところがわかりにくいかもしれません。
なのでここからは、僕がこの考えに至るまでの過程、
僕がラノベ作家としてデビューするまでの物語を書いていきます。
僕自身、元から才能があってあっさり作家になれた、というタイプの人間ではありません。
もちろん最初は僕も、
ラノベのことなんてまったくわかっていない素人の一人でした。
それでも作家になれるよ、ということを伝えたいのもあって、
僕がライトノベルと出会ってから作家になるまでの軌跡を書いていきます。
自然豊かな土地に生まれ育つ
ちょっと田舎の住宅街にあるごく一般的な家庭に、
のべろは生まれました。
バスを使わないと電車駅に行けず都会からも遠い場所ではありましたが、
あれはあれで恵まれた環境だったと思います。
家の周りには自然が溢れ、
また周りに同世代の子供も多かったため、
小学生のときはいろんな友達とともにサッカーなどをして遊ぶ日々。
そして何より、
親は教育に理解があり、
塾や私立に行けるくらいのお金もありました。
僕は子供の頃から頭(というか要領)が良かったので、
進学校と呼ばれるような中高一貫の私立中学を受験し、入学。
中高では友達と遊んだり部活に打ち込んだりしながら、
勉強も頑張って京大に現役合格しました。
うちの家族は大企業志向が強かったので、
「このまま京大卒の新卒カードを使って大企業に行けば安泰だね」
なんて会話もあったなあ、とうっすら記憶しています。
それまでおおむね順調に人生を歩んできて、
僕もそういうものだと思っていましたが、
「何かが違うかもしれない」と思い始めたのは大学に入ってからでした。
大学で感じた、社会不適合者の兆候
小中高では普通に作れていた友達が、
大学ではほとんどできませんでした。
というのも、小中高と大学ではシステムが全然違います。
小中高ではクラス分けがなされ、
同じ相手と毎日授業や生活をともにするため、
どうやっても仲良くするしかありません。
しかし大学では、(学部などにもよるのかもしれませんが)
多くの人と仲良くなんてしなくてもつつがなく生活は回ります。
もちろん大半の学生は同じ学部に多くの友達を作り、
飲んだり出かけたりといった付き合いをしていましたが、
それも積極的な行動に出なければ起こらないもの。
そして僕は、
積極的に友達を作ろうという気分になりませんでしたし、
その思考を不幸だとも思いませんでした。
大学生にまでなって初めて気づいたことですが、
僕にとっては一人でいる方が自然な状態なんですよね。
わざわざ人に会うなんてめんどくさい、という思考。
ほとんどの授業は一人で受けますし、
食堂でのぼっち飯もまったく苦にしていませんでした。
今思えば、
あまりに社会不適合者すぎますね……。
とはいえ、それも自分で選んだ道。
友達なんていなくても単位は取れますし、
適度に家庭教師系のバイトなどをしながら自由に過ごしていたのですが、
次第に心配になってくるのは卒業後のことです。
「一人の方が楽という自分の性格を自覚してしまった以上、
会社員なんてやってられないのでは?」
そんなえも言われぬ不安が心の中に湧き上がってきました。
そうは言っても、ただの大学生にとって
社会人以外の道なんて取れるものがありません。
「学問や研究に打ち込めば良いのでは、そっちの道があるのでは」
と思われそうですが、
特に学びたいことややりたいことがあったわけではありませんでした。
一回生の時には専門科目の授業に一通り出てみたものの、面白そうな学問は見つからず。
なんとなく通学し、バイトをこなし、
何の成長もないままに過ぎ去っていく日々。
大学生ながらに「本当にこのままでいいのかな」という思いもどこかにあり、消化不良の毎日でした。
そんなある日。
書店を回遊しているときに、ふと手に取ったのがライトノベルでした。
ライトノベルに「圧倒」され、プロを目指す
僕はそれまでもライトなオタクで、アニメや漫画なら多少は嗜んでいました。
ですが、ライトノベル、というより小説はほとんど読んできませんでした。
なので、「なぜラノベを手に取ったの?」と聞かれても、「暇だったから」としか言えません。
それくらい、偶然の出来事でした。
そして、そんな風にたまたま手に取ったライトノベルに、
僕は「圧倒」されました。
「圧倒」って何だよ、と思われそうですが、
これは僕の好きな言葉です。
言い換えるなら、
「何も手につかなくなる」とかそんな感じ。
その作品が面白すぎて、貪るように読み、
そして読み終わった後は
「小説ってこんなに人の心を動かせるものなのか……」
という驚きがじんわりと湧き上がってきました。
あの時に小説を手に取っていなければ、
あるいは買ったのが別の作品だったら、
などと考えるとゾッとします。
ふと手にしたラノベでそう思えたのが、人生の大きな分岐点でした。
それからはいろんなシリーズを読んでいきました。
最初は、誰もがタイトルを知っているような名作を。
それからは、そこまで有名ではない作品も、
タイトルやあらすじに惹かれれば読むようになりました。
そこまで行ってしまえば、
「よし、ラノベ作家を目指してラノベを書いてみよう」
となるのは自然な流れでした。
「自分もあの作品のように、読者を圧倒する作品が書きたい」
そういう気持ちがありましたし、
この目標は今でも胸の中に強くあります。
そして正直に言ってしまえば、
小説家なら社会不適合者でも、
大変な人付き合いなんてせずに生きていけるのでは。
という打算があったのも否定できません。
作家を目指し始めた理由としては、
純粋な気持ちと不純な気持ち、
二つが入り交じったような人間、それがのべろです。
目指すは新人賞受賞
それから僕は、ライトノベル新人賞を目指し始めました。
ラノベ作家になるには大きく2種類の道があります。
出版社が開催している新人賞に応募して受賞するか、
Web投稿サイトに小説を投稿して出版社の目に留まるかです。
そして、僕が目指したのは前者でした。
理由はシンプルで、当時の僕がハマったライトノベルの作者の多くが新人賞出身だったから。
最初にWeb発の作品にハマっていればまた変わっていたかもしれません。
さて、そうと決まれば後はやるだけです。
大学に行くのは単位を取るための最低限にして、どんどんラノベを読んでいきます。
ちょっと今では難しいですが、初めの方は一日に一冊以上のペースで読んでいました。
そして読書と並行し、物語の作り方も勉強していきます。
周りのプロ作家からは「珍しい」と言われるのですが、
ここが一つの分岐点でした。
僕は作家としての第一作を書き始める前に、
いわゆる「創作指南書」を手に取りました。
何よりも先に読んだ「創作指南書」の効果
創作指南書と言われてもピンとこないかもしれません。
僕が読んだのは、その中でも「脚本術」などと呼ばれているもの。
ざっくり言うと、アメリカのヒット映画を研究し、その物語構成やヒット要素を分解、解説した本でした。
通な人には、「フィルムアート社の本」と言うとどんなものか伝わるでしょうか。
(例えば、最も有名なのはこちらの「SAVE THE CATの法則」ですね)
アメリカの、しかも映画のことなんて勉強してラノベに役立つの?
と思われるかもしれませんが、これが実際役に立ちます。
一つの作品を作るのに膨大な予算が注がれるハリウッド映画は、エンタメの最高峰。
そこに見出される物語の法則は、映画だけにとどまらず、
小説やゲームにも活かすことができるのです。
なんて語り出すと長くなりますが……
とにかく、多くの小説家が脚本術を参考にしており、
もちろんラノベ作家も例外ではありません。
(当時の僕はそんなことを知らずに、本の売り文句に惹かれて手に取ったのですが)
つまり僕は言ってみれば、実践の前に理論から攻めたわけです。
執筆を始める前に脚本術のような技術を勉強すべきか。
プロ作家でも意見が分かれ、正解はない問いですが、
少なくとも僕にとっては正解でした。
当時の僕は仮にも京大生。
理論を勉強すればそれを活用できるという自信があったのです。
そして理論を学んだ僕は、それを存分に活用し、
ついに初めての作品を書き上げ、とある新人賞に応募しました。
初めての新人賞挑戦は上々の結果
その結果はというと……
二次選考通過(三次選考落選)という結果でした。
自画自賛になりますが、客観的に見ても
処女作の結果としてはかなり良いものだと思います。
この時の賞だと、二次選考通過を通過できたのは応募作の上位5%ほど。
何作も書き続けてきた人でも容易には突破できないラインです。
またさらに嬉しいことに、
審査員からもらえる評価シートには、構成が優れているという評価もありました。
つまり、本で学んだことをしっかり活かし、作品の良さにできていたのです。
処女作は、僕がラノベ作家になると決めてから、せいぜい四ヶ月程度で書き上げたもの。
この時の僕が
「なんだ、けっこういけるじゃん。受賞は時間の問題だな」
と思ったのも無理からぬことでしょう。
ですが……
ここから、試練の日々が始まります。
処女作の結果を超えられない、試練の日々
それから僕は、ひたすらにがむしゃらな努力を続けました。
構成力を自分の武器だと信じ、脚本術などの本をさらに何冊も読んでいきます。
今家にある創作指南書を写真で撮ってみると、次のような感じです。
(プロになってから買った本も多くあります)
上述した「SAVE THE CATの法則」などは電子書籍で読んでおり、
そちらでも紙と同じくらいの冊数を買っているので、
創作指南書だけでも軽く5万円は使っていそうです。
とにかく時間はあったので、
辞書的なものは別ですが、
技術書系は最初から最後まで読み通していました。
いやホント、めちゃめちゃ勉強しましたね。
もちろん創作指南書だけではなく、ライトノベルもどんどん読んでいきます。
特に力を注いで読んでいたのは、新人賞を受賞した作品の第一巻。
過去の作品だとKindleやbookwalkerの読み放題サブスクで読めるので、ガンガンインプットしていきました。
ちなみにこの時は、「新人賞を受賞するまで小説の2巻は読まない」と決めていました。
新人賞にチャレンジするに当たっては、2巻以降を読む必要はあまりないからです。
読書は娯楽ではなく研究。
そう割り切ってストイックに取り組み、分析シートなんかも書いていました。
もちろん書く方も同時並行で進めていきます。
第二作、第三作、第四作とどんどん書き上げ、それぞれ別の新人賞に送っていきました。
当時記録していた執筆時間を見てみると、休みの日には1日10時間書いてる日もあったり……。
ベッドに寝転んでお腹の上にノートパソコンを置き、ずっと原稿に向き合っていました。
この時の僕は、使える時間をすべて小説に当てていました。
本当に比喩でもなんでもなく、多いときは月160時間、
つまり社会人の労働に匹敵するくらいには時間をかけていたのではと思います。
少ない月でも、コンスタントに100時間はかけていましたね。
勉強し、読み続け、書き続ければ、いつか受賞できる。
心の底からそう信じていました。
……ですが、しばらく経ったある時。
新しい作品の結果が出てくると、僕は絶望することになります。
二次選考通過、上位5%という
処女作の結果を一向に超えられないのです。
新しい作品を書いても、一次落ちや二次落ちばかり。
評価シートに書いてあったことも、自分なりに考えて直していったつもりだったのですが、
その努力が結果に現れることはありません。
受賞できないことよりも、
以前の自分を超えられていない、成長できていないことがショックでした。
ここに小説の難しさがあると思います。
例えば絵なら、自分の絵と上手い絵を比べれば、自分が下手なことはすぐにわかります。
それほどまでに視覚というのは強力なわけですね。
ですが、小説は違います。
「文章が上手いかどうか」は一目でわかりませんし、人によっても意見が分かれます。
文章だけの話ではなく、「この話は面白いか」「一冊を通してどうか」なんて、もっとわかりにくいのです。
この時の僕は、何が悪いのかもわかっていませんでした。
もちろん評価シートは見直していましたが、それでも自分のクリティカルな問題を発見できずにいました。
……この時期のことは、今思い返しても辛い気持ちになります。
「処女作はビギナーズラックでなんとかなっただけで、自分に才能はないのではないか」
そんな考えが頭をよぎり、創作をやめてしまおうと思ったことさえありました。
ですが、僕は幸運にも諦めないという選択をしました。
絶望的な状況を打破するため、僕は大きな一歩を踏み出します。
他者の意見を取り入れ、「ライトノベル」を知ってゆく
この時まで、僕は独学で小説を書いていました。
創作指南書を読んだり、ネットで拾える範囲の情報を集めたりはしていたものの、
作家志望者の友達などは誰一人おらず、
ずっと一人で書き続けていました。
また、web投稿サイトも使っていなかったので、
誰かからコメントをもらうこともありません。
自分の小説を誰かに見てもらうという経験をしたことがなかったのです。
なので、僕は考えました。
「これ以上独学でやっても成長できない。だから他人を頼ろう」と。
こうして書いてみると「当たり前だろ」って感じですが、僕にとっては一大決心でした。
独力でデビューできなかったことを認めることにもなりますし、
何より他人に小説を見せるなんて怖いですし、恥ずかしさもありますし。
やっぱり、この心理的ハードルを越えるのが一番難しかったです。
とはいえ、行き詰まってしまった以上、もはや弱音を吐いている暇はありません。
僕はネット上でいろいろなサービスを探し、自分の原稿を読んでもらうことにしました。
時には、同じくライトノベル新人賞の受賞を目指すアマチュア作家さんに読んでもらいました。
自分も相手の原稿を読んで批評し合う、いわゆる「読み合い」と呼ばれるものです。
アマチュア作家とて侮るなかれ、これがとても役に立ちました。
なかなか自分の原稿を客観視するのは難しいので、新しい視点から物語を見つめ直すことができます。
さらに、僕よりもライトノベルをよく理解している人がたくさんいて、
「こういう展開は避けた方が良い」「こういうキャラ造形はラノベでは受けない」など
実践的で有用なテクニックも知ることができました。
そしてさらに役立ったのは、プロ作家や編集者からのアドバイスです。
探してみれば世の中には、有料でプロにアドバイスをもらえるサービスが色々あります。
実績のあるプロに本一冊分の原稿を読んでもらうとなると、4~5万円が相場になっています。
もちろん決して小さい額だとは思いませんが、僕はそういうサービスも躊躇なく利用していきました。
新人賞を受賞してしまえば、賞金や印税で何十万も入ります。
そしてプロになってしまえば、ライトノベルを書いて数百万円、あるいはそれ以上を稼ぎ続けるわけです。
そう考えると、数万円や数十万円の先行投資なんて誤差でしかありません。
お金をかけてでも、成長速度を早める方がはるかに価値がある。
プロ作家になることを固く誓っていた僕はそう考え、
自分の血肉になりそうな情報・経験があればどんどん取りに行きました。
そして、その選択は間違っていませんでした。
何人ものライトノベル業界のプロと話をしているうちに、僕はゆっくりと、
今のやり方のままでは受賞できないと気づいていきました。
これ、一度言われたくらいではなかなか気づけません。
相手もこちらを気遣ってくれるので、
ズバッと「そんなんじゃダメだよ」と言われることは少ないですし。
それでも、いろいろな人の話を聞いているうちに、やっと気づくことができました。
高次選考に残るという結果は出していたので、
「自分のやり方は間違っている」と認めるまでには時間もかかりました。
ですが、これを認めることで、僕は一段階、いや二段階も三段階も成長することができました。
自分の実力が足りないと認識できたとき、初めて人は成長できます。
ここから僕は、頭を作り替えました。
自分を作り替え、正しい方向に進んでいるという確信を得る
僕は今までの考え方を捨て、新人賞を狙うための正しい思考をインプットしていきました。
そのおかげで、今まで書いてきた作品が受賞しない理由がはっきりとわかるようになってきました。
さて、そうしてまったく新しい考え方で作品を書き上げ、新人賞に応募していきます。
今までの自分のスタイルを捨てたため、
すぐに以前までのような成果を出すことはできませんでした。
でも、まったく新しいことに挑戦しているのだから、
一時的に成績が落ちるのは当たり前。
自分が正しい方向で努力し、プロ作家に近づいていっていることを確信できていたので、
とても前向きに執筆できていました。
そしてそのまま、新しい方向性で自分を磨き続け、
ついにその日がやってきました。
出版社から新人賞受賞の連絡が届いたのです。
ですがその時の僕は、その連絡に驚くことはありませんでした。
正しい方向性で努力し、受賞を狙える作品を作れていたからこそ、
出てきたのは「やっぱり受賞したか」という感想。
ライトノベルの本質を掴んでいたアマチュア時代の終盤は、
それくらいの余裕を持って小説に取り組むことができていました。
こうして僕は、ラノベ作家になることができました。
新人賞の賞金と印税で、それまでの勉強代は何倍にもなって返ってきました。
ライトノベル作家になった今、思うこと
以上が、ライトノベル作家になると決意してから実際にデビューするまでの僕の物語です。
振り返ってみると、かけた時間の割には遅咲きだったと思います。
というか、遠回りしすぎましたね笑。
後悔しても仕方ないのですが……
もし最短ルートで学べていれば、
年単位でデビューが早まったのでは、なんて想像を今でもしてしまいます。
もっと早く、独学をやめていれば。
もっと早く、他人に原稿を見せていれば。
もっと早く、プロの話に耳を傾けていれば。
もしもの話を挙げていけばキリがありません。
ですがプラスに考えるなら、
遠回りしたからこそ学べたことも多かったと思っています。
創作指南書を(必要以上に)読み込みまくったおかげで、
ストーリーの構成力は強力な武器になりました。
「絶対やってはいけない」級のものも含めて
いろんな失敗をしてきたおかげで、
プロになってからはそういう失敗をせずに書き続けられています。
簡単に言うと、ライトノベルの感覚をしっかり身につけ、
安定してクオリティの高い作品を書けるようになったということです。
実際、「一作目や二作目でたまたまプロになれちゃった」という人が
基礎技術などの不足でデビュー後に苦労する、なんていう話はたまに聞きます。
先に苦労しておいたからこそ、後で苦労せずに済んだわけです。
プロになってからまずいことをする方が作家としての信頼に関わりますから、
逆にラッキーだったのかもしれません笑。
そして、こういう経験をしてきたからこそ、確信していることがあります。
今の僕が大学生当時の僕に教えれば、簡単に受賞できただろう
という確信です。
あの頃の僕は、やる気だけはありました。
そもそも大学生なので時間もありましたし、
がむしゃらに努力し、読書や執筆にも惜しみなく時間を注ぎました。
また、座学を勉強して実力に繋げようという姿勢もありました。
では何が足りなかったかというと、正しい知識です。
正しい知識を得られなかったからこそ、努力の方向性を間違ってしまっていたのです。
だから、頑張っても頑張っても目標に近づけていなかった。
それって、すごくもったいないことですよね。
そして、かつての僕と同じような状況に陥っている才能の原石は、
日本中にたくさんいると思っています。
なぜ僕が発信するのか
専業作家として活動できている僕が、なぜいまさら情報発信を始めたのか。
その大きな理由は、
今のインターネットにはまだ、
アマチュアにとってラノベを学ぶための環境が足りないと思っているから。
そしてそれがラノベ業界にとって良くないことだと思っているからです。
確かに、創作術を語った本はいくつも出版されていますし、僕も読んでいます。
ですが、特にラノベについて、新人賞を取れるレベルまで語った本はなかなかありません。
また、Twitterなどでも創作論は交わされますが、まさに玉石混交。
ときたま玉のような意見もありますが、それも時間とともに流れて行ってしまいます。
こう考えると、プロ級の実践的な知識をしっかり学べる場所は意外にありません。
というか、それがなかったからこそ、勉強熱心だったあの頃の僕も
たくさんの人と交流し、多大な時間をかけないと、プロにはなれなかったわけです。
また、これも本当に良くないと思っているのですが、
ラノベ業界全体として
「プロ作家といえど創作術を語るのはけしからん」
「語って良いのはトップ作家だけ。最低限アニメ化はしてないと」
「創作術で金を稼ごうなんてもってのほか」
という風潮が蔓延しているように感じています。
こうなると、トップ作家とは言えない作家は創作術を発信しづらくなりますし、
忙しいヒット作家がボランティアで創作術を整理・発信する暇などあるわけもなく、
結果として確かな技術はアマチュアにまで下りてこないという……。
実際、僕が匿名で発信しているのもこれが理由です。
ペンネームと紐付けると、
「あいつは創作術を発信してる作家だ」と悪く見てくる業界人がいるので、
それは避けたいのです。
本当なら紐付けた方が皆さんも納得しやすいでしょうし、
僕も語れることが増えるのですが……。
先例がいないからこそ、僕が最初の一人となり、
この風潮にも僕が風穴を開けていけるとよいなあと思っています。
そして幸い、こういう情報を発信する人材として、
我ながら僕は適任だと思っています。
さまざまな失敗を経験し、アマチュア作家の原稿をたくさん見てきたからこそ、
アマチュア作家が陥りがちな失敗のパターンを熟知しています。
何より、理論化・体系化は大得意だし、大好きです。
作家の中でも理論派と感覚派がいるのですが、僕はかなりの理論派寄り。
だからこそ教えるのも上手いのだろうな、と自分で思っています。
これからの発信では、
あの頃の僕が知るべきだったことを書いていきます。
今の僕はプロ作家ですが、アマチュア作家の気持ちはよくわかっているつもりです。
僕の発信を読んでくれた方が少しでもプロに近づけることを願って、
耳障りの良い創作術ではなく、本当に役に立つ情報を発信していきたいですね。
そしてもちろん、
僕自身もまだまだ成長できると考えています。
新人賞を獲ることについては再現性高くできる自信がありますが、
読者を圧倒する作品にはまだまだ到達できていないとも感じています。
しかし同時に、
(今はまだそうではないとしても、時間がかかるとしても)
将来的に大作家になれると確信してもいます。
「このままやれば新人賞を穫れる」
と確信したときと似たような感覚です。
これも技術と言語化、
そして努力によってなせるものだと思っています。
一緒についてきてくれると嬉しいです。
それでは、今後ともよろしくお願いします。
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