どうも、のべろです。
先日、男性向けライトノベルの主要な新人賞についてまとめた記事を出しました。
応募を検討するための情報を過不足なく網羅し、ワンポイントアドバイスもつけています。
まだご覧になっていない方はぜひ参考にしてみてください。
ただ、こちらを読んだとしても、
「結局どこに出せばいいんだよ」という疑問はなかなか解決しないと思います。
個性のある新人賞もありますが、全部が全部そうというわけではありませんし、
なかなか単純比較はできません。
ただそれでも、一つだけ
「これは明確に意識しておいた方がいいな」と思っているポイントがあります。
それは、「大きい新人賞と小さい新人賞」という軸で分けるということ。
結論から言うと、
大きい新人賞は難易度が高いが、
受賞したときのメリットは大きい。
小さい新人賞は難易度が低いが、
受賞したときのメリットは小さい。
これぐらいシンプルに考えてOKです。
そして、自分が投稿作をどうしたいか、
受賞後にどんな作家になりたいかによって、
取るべき戦略が変わってきます。
以下では、大きい新人賞と小さい新人賞、
それぞれの特徴、具体的なメリットデメリットをあげていきます。
大きい新人賞の特徴
難易度が高い
当然ですが、大きい新人賞ほど難易度が高くなります。
後述するように受賞した時のメリットが大きいため、多くの実力者が集うのです。
ちなみに、新人賞の難易度を測る際によく倍率という数字が取り上げられますが、
参考程度に見ておいた方がいいと思います。
大きい新人賞ほど実力者が応募してくるので、
応募者数が同じだとしてもその質が違います。
より具体的に言えば、すでにプロとしてデビューしている作家が応募している確率が高くなります。
周りの話を聞いていると、やはりプロ作家は
より大きな新人賞に挑戦する人は多いようです。
ペンネームを変えていることもあるのでそう見えないこともありますが、
頭の片隅に留めておいてください。
受賞作を押し出してもらえる
大きい新人賞ほど、受賞作を押し出してもらいます。
押し出すとは具体的にどういうことかというと、
1つ大きな違いは発行部数です。
発行部数とは紙の本が刷られる数のことで、
これが多いほど全国の書店に本が行き渡り、ヒットしやすくなります。
また、印税も発行部数に比例するので、
作家の収入にも直結します。
そしてさらに、作品にかける広告費も賞の大きさに左右されます。
大きい新人賞ほど、過去に受賞作が売れた先例があるため、
出版社として「受賞作を押し出す」という判断がしやすくなっているわけですね。
総じて、同じ作品ならば
大きい新人賞で受賞する方が、受賞作がヒットする確率が高まる
と言えるでしょう。
ただしこれらの点については、大賞を取るか銀賞や佳作に終わるかでも変わってきます。
スニーカー大賞やGA文庫大賞などは、大賞作品にコミカライズを確約しています。
コミカライズも言ってみれば宣伝費です。
受賞作が続刊しやすい
大きい新人賞を取った時のメリットは、受賞作の第一巻だけではなく、続刊にも影響します。
新人賞に力を入れているレーベルの方が、続巻も出しやすいです。
例えばオーバーラップ文庫大賞では、
金賞以上で3巻確約、銀賞でも2巻確約を明言しています。
また、名言こそされていませんが、
電撃大賞受賞作も同様に、金賞で3巻、銀賞で2巻までは出ているように見えます。
MF文庫Jにおいても、受賞者が望めば2巻までは出せそうです。
どのレーベルにおいても、1巻が売れれば2巻は出せます。
ただ、1巻が売れないと、2巻を出しても利益は生まれません。
そんな中で、赤字覚悟でも2巻を出せるかどうかは、
新しい才能に投資できる余裕があるか、というレーベルの体力によって決まります。
もちろん、2巻が出るということはその分印税ももらえるので、作家にとって経済的なメリットも大きいです。
次回作を出しやすい
作家生命という意味で考えれば、これが何より重要かもしれません。
新人賞を受賞すると、担当編集者がつきます。
大きい新人賞ほど、仮にデビュー作が売れなかったとしても、
企画立ち上げ、書き下ろしの形で次回作を出せる確率が高まります。
編集者と一緒に新しい作品を考え、それを世に問うという形ですね。
これもやはり、新たなる才能への投資であり、レーベルの体力によって決まります。
大きい新人賞を受賞できた方が、
作家を長く続けられる可能性が高まると言えるでしょう。
もちろんこれは、受賞したら確実に次回作が書けるというわけではなく、
その作家の実力によるところが大きいことはご了承ください。
新作以外の仕事が回ってくることもある
こちらはおまけ程度ですが一応書いておきます。
レーベル自体が活発で、新しい施策などを行っていると、
新人賞受賞者にも仕事が回ってきやすくなります。
最近だと典型的なのが、MF 文庫Jのボカロノベライズです。
10代をメインターゲットに置いている MF 文庫Jは、ボカロに力を入れており、
「グッバイ宣言」「ロキ」などの人気楽曲をノベライズしていますが、
その書き手となっているのは、新人賞受賞者など、過去にレーベルで仕事があった作家です。
レーベルが色々な仕事を持っているほど、仕事のチャンスが増えるでしょう。
小さい新人賞の特徴
ここからは小さい新人賞の特徴を書いていきます。
基本的には大きい新人賞と真逆だと思っていただいて問題ありません。
難易度が低い
後述するようにメリットが少ないことから、あまり新人賞の人気がなく、受賞の難易度も低くなる傾向にあります。
倍率という数字に現れることもありますし、受賞作のクオリティの差に現れることもあるでしょう。
受賞作があまり押し出されない
こちらも大きい新人賞と逆のことが言えます。
小さい新人賞、特にを受賞作が大きく売れた先例がない新人賞では、受賞作を大きく押し出すことは難しいです。
発行部数は少なくなり、全国の本屋に行き渡らず、広告施策なども最低限のものになります。
この状態では、たとえ作品が面白かったとしても、ヒットさせるのは難しくなります。
続刊が難しい
一巻が押し出されないため、必然的に続刊率も下がります。
その新人賞の受賞作のうちどれぐらいが1巻で打ち切られているか、調べておくのも良いでしょう。
次回作を出しにくい
小さい新人賞、というより小さいレーベルでは、新人が企画立ち上げをするのは難しくなります。
というのも、売れるかわからない新人の新作に投資する余裕がなく、
Web投稿サイトで人気になった作品や、ファンを多く持つ有名作家の作品など、
一定の売り上げを確保できる根拠の強い作品を出すからです。
このため、受賞作をヒットさせるのが難しいだけでなく、
デビュー作がヒットしなければ次回作が書けないという事態に陥ります。
おすすめの投稿戦略
以上、新人賞の規模による違いを見てきました。
特に小さい新人賞についてはなかなか厳しい現実がありますが、
嘆いていても仕方がありません。
このような現状を踏まえ、
僕がアマチュア作家におすすめする投稿戦略は次のようなものです。
①時間的な余裕がある場合、長く作家を続けたい場合
まずは大きな新人賞に投稿する。
落選した場合、その作品を小さい新人賞に送り直す。
②すぐにデビューしたい場合、一冊出せれば満足という場合
小さい新人賞を優先して狙う。
ただやはり、長く作家を続けていきたいならおすすめなのは前者でしょう。
一番もったいないのは、大きい新人賞でも受賞できるような作品を小さい新人賞に送ってしまうことです。
それを防ぐためにも、まずは大きい新人賞に出すことをおすすめします。
まとめ
どんな新人賞でも受賞は受賞ですし、本になります。
難易度が低いことは大きなメリットなので、何を優先するかを考えながら応募先を検討しましょう。
そして、ここまで「大きい新人賞」「小さい新人賞」という抽象的な言葉を使ってきましたが、
「具体的にどの新人賞が大きいの、小さいの?」という疑問もあると思います。
なので次回の記事では、
のべろが思う新人賞のランクを公開します。
表ではなかなか言えませんが、投稿者にとって本当に必要な情報だと思いますし、
匿名だからこそ正直に書きます。
どうぞお楽しみに。
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