アニメ「ロシデレ」「マケイン」の大成功を見てラノベ作家が思ったこと

どうも、のべろです。

9月が終わり、2024年夏クールのアニメが終了しました。

昨今はアニメ化のハードル自体は低くなったと言われており、
ラノベ原作アニメの数は昔よりも増えました。

とはいえ、いえ数が多いからこそ、成功するのはほんの一握り。

そんな中、昨クールのラノベ原作アニメで目を引くのは、
やはり
・「ロシデレ(時々ボソッとロシア語でデレるアーリャさん)」
・「マケイン(負けヒロインが多すぎる!)」

の大成功です。

(ロシデレは2期の制作も決定しましたね)

ここでは何を持って成功と言っているかというと、
この二作はアニメ放送により、大きな重版が複数回かかっていました。

特にマケインは上のポストの通り、電子書籍も含めて
ガガガ文庫の売上に大きなインパクトがありました。

どちらも、原作者および出版社にとって大きな利益となるアニメ化だったと言っていいでしょう。

そんなアニメを見て、一ラノベ作家である僕は何を思ったか。

正直に言えば、「悔しい」「羨ましい」みたいな気持ちはもちろんあります。

ですが冷静になると、
「やっぱり作者にできるのは、良い作品を作ることだけだな」
という認識を、改めて強く持ちました。

目次

アニメ・マケインの突出したクオリティ

マケインがこれほどの躍進を遂げた理由が
アニメのクオリティの高さであることは、
多くの人に同意してもらえると思います。

作画だけでなく構成や音楽なども丁寧で、
はっきり言って、そのへんのアニメとは一線を画すクオリティでした。

Xを眺めていても、
「劇場版かと思うくらい作画が良い」
「ラノベがこのクオリティでアニメ化されるなんていつぶり?」
といった感想が数多く飛び交っていました。

そんなマケインの企画制作を行ったのはアニプレックス。

「SAO」「かぐや様」「鬼滅の刃」などのビックタイトルを数多く手掛け、
アニメの企画・プロモーションにおいては業界トップレベルの信頼がある会社です。

マケインの制作を行ったスタジオ「A-1 Pictures」もクオリティに定評がある、アニプレックスの保有グループ。

記憶に新しいところで言うと「リコリス・リコイル」もA-1 Picturesで、
他のA-1 Pictures制作アニメと比べても、
マケインとリコリコはなんとなく作画などが似ている印象があります。

いみぎむるさん(リコリコのキャラデザ・マケインのイラストを担当)の繋がりがあったから……
などと言い出すと憶測が過ぎますが。

ともかく、マケインが制作開始時点でかなりの「当たり」を引いていたのは間違いないでしょう。

アニメ制作の熱量は何で決まる?

では、アニメの制作陣はどのように決定しているのでしょうか。

当然ですが、どの原作者・出版社も、
アニプレックスのような実績のある会社に
アニメを企画してもらうことを望んでいるはずです。

僕はアニメ業界に詳しいわけではないので、推測しかできませんが……

企画会社も制作スタジオも、作れる数が限られている中で、
数え切れないほどの原作を選りすぐり、
制作を決定していることでしょう。

マケインなら、企画会社のアニプレックスが、
そして制作スタジオのA-1 Picturesが、
関係するたくさんの人々が、それぞれOKを出す必要があります。

アニメ制作は大きな事業なので、
数人の意思で動くようなことはありません。

逆に言えば、アニメ化へと動いていた企画が没になることもままあります。

アニメを作ると正式決定すれば数億円のお金が動きますが、
開始前に断念すれば数百万のサンクコストで済むわけですね。

そして、ここまで企画・制作会社ですべてが決まるかのように書いてきましたが、
もちろんそんなことはありません。

いくら実績などがあっても、働くのは人間。

作り手のやる気次第でクオリティに差がつくのは自明です。

多額の資金と十分な制作期間をかけて作るアニメ、
放送枠を埋め合るために出来合いで作るアニメ、
最初からそんな差が生まれてしまうこともあるでしょう。

原作者にできること

では、このような事情を踏まえて。

僕たちのような一介の原作者にできることは何でしょうか。

結論を言えば、直接的にはほとんどありません。

アニメ制作会社の社長と仲が良いとか、
そんなことがあれば別ですが、例外中の例外でしょう。

編集者を含めた原作サイドがどれだけ営業したところで、
最後に決めるのは向こう側。

作品を読んだ偉い人が「これは」と思えば力を入れてくれるでしょうし、
「平凡な作品だな」と思われてしまえば、
いくら売上などの数字がある作品でも、力を入れてもらうのは難しいでしょう。

原作者にできるのは、ただ読者に対するのと同じように、
作品を読む人間の心を動かすしか無いのです。

ロシデレが令和ラノベ最大のヒットを叩き出した理由

マケインの舞台裏については憶測でしか語れませんが、
ロシデレの書籍化のことなら、
ラノベの通例と比べながら語ることができます。

令和の新作でラノベ最大のヒットを記録しているロシデレ、
正式名称は「時々ボソッとロシア語でデレるアーリャさん」。

もちろん技術的に優れているところはたくさんあり、
その分析は以下のnoteに書きました。

本作の優れている点、勉強になるところだけで2万字語れるほどで、
作品自体の良さは疑う余地もありません。

しかし、ただ良い作品だというだけでは、
この作品もここまでのヒットを記録しなかったかもしれません。

そこには、作品に突き動かされた大きな熱意がありました。

ロシデレ発売時のプロモーション

ロシデレはもともと、web投稿サイトに短編で投稿されていました。

短編としては伸びていた作品だとしても、
その作品が長編になったらどうなるのか、
といった点は完全に未知数です。

そんな状態でも、アイデアの良さという一点を信じ、
スニーカー文庫の編集者――夏川さんは書籍化打診を出しました。

そして注目すべきはプロモーションです。

人気イラストレーターのももこさんを起用し、
宣伝のためのプロモーション漫画を用意し、
発売前から声優を起用してボイスドラマをいくつも制作しました。

以下のような夏川さんの一連のツイートを見ても、
力の入れようがよくわかるかと思います。

作者である燦々SUNさんもこれが初の書籍ですし、
「スニーカー大賞受賞!」や「web投稿サイトのランキングで◯位!」
といった作品の実績もまったくなし。

言い方は悪いですが、常識的に考えれば、
発売前からこのレベルの扱いを受けるような作品ではありません。

ですが夏川さんは、
常識では考えられないような熱量を本作に注ぎ込みました。

おそらくは、過去の実績で得た信頼・人脈などもフル活用し、
打てるだけの手を打ちました。

その結果、
「こんなに力が入っている作品はなんだ?」と大きな注目を集め、
初動から今に至るまで絶好調のまま走り続けています。

いくら元のアイデアが良かったとしても、
いずれは書籍化される作品だったとしても、
夏川さんでなければ、数あるラブコメの一つとして終わっていたかもしれません。

そしてこれを実現できた要因は、
「夏川さんに見出されて運が良かった」
などとは言えないでしょう。

それだけの熱量を注がせるに至った、作品の力。

これが、原作者にできることのすべてです。

読者を、関係者を「惚れさせる」「動かす」作品を書く

アニメ化レベルの大きな動きではなくても、
同じような話はたくさんあります。

個人的な経験で言えば、
僕の作品のコミカライズを担当した漫画家さんが作品に惚れ込み、
こちらからは到底頼めないくらい、仕事の範疇を超えて
作品づくりや宣伝に力を入れてくださったことがあります。

本当にありがたいことです。

他にも、
編集者がとっておきのイラストレーターを探してきてくれたり、
営業部が大きく押し出してくれたり、
書店員が書店に特別ブースを作ってくれたり、
読者が熱のあるレビューをネットに書き込んでくれたり……。

こういった「作品に惚れ込んだ人の熱意ある行動」の話はたくさん見聞きします。

僕は作家として、そういうことが起こるように。

作品を読んでくれた人に楽しんでもらえるように、
思わず行動してしまうくらいの熱量を持ってもらえるように、
目の前の一つ一つの原稿を、全力で書いていきます。

作品が世に出て、誰かの目に留まる時に、
「もっと頑張っておけばよかった」と後悔しないように。

以上、大成功作品を見ての決意でした。

noteにて、ライトノベルの技術を体系化しています

今でこそ複数の新人賞を受賞しプロになった僕ですが、
初めからうまくいったわけではありません。

一次落ちや二次落ちだって何度もしていますし、
はじめの頃はライトノベルというものをまったくわかっておらず、
受賞までに長い時間がかかってしまいました。

ラノベをたくさん読んでいたのに、
創作指南書などで熱心に勉強していたのに、
なかなか実力が身につかなかったのです。

ですが、今ならその理由が分かります。

それは、ライトノベルに特化した技術を学べる場がなかったから。

ライトノベル作家の視点や感覚を気軽に知ることができなかったから。

 

そしてその状況は、今もあまり変わっていないと考えています。

だから僕が、ライトノベル技術の体系化を始めました。

↓こちらのリンクから飛べます。

ブログでもnoteでも、僕の活動理念は同じです。

「アマチュア時代の僕が知りたかったことを伝える」こと。

あの頃の僕が読めば一段階レベルアップできたはず、
遠回りすることなく最短ルートでプロになれたはず、
心からそう思えるような記事を投稿していっています。

きっとあなたにも役立つはずなので、
ぜひ一度覗いてみてください。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

それではまた。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェアいただけると嬉しいです
  • URLをコピーしました!

コメントはお気軽にどうぞ

コメントする

このサイトは reCAPTCHA によって保護されており、Google のプライバシーポリシー および 利用規約 に適用されます。

reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。

目次